相続放棄は3か月以内。過ぎてしまう前に確認したいこと
公開日:2026年8月15日
この記事で分かること
- 相続放棄の期限「3か月」の数え方(起算点は死亡日ではありません)
- 期限を延ばす「期間の伸長」という仕組み
- 相続財産に手をつけると相続放棄ができなくなる場合があること
相続放棄とは何か、いつまでに決める必要があるか
相続放棄とは、被相続人の財産をプラスの財産もマイナスの財産(借金などの負債)も含めて、一切 引き継がないという意思表示です。負債が多い場合や、財産の状況がよく分からず関わりたくない場合 などに選択されています。
相続放棄には期限があります。民法は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月 以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があると定めています。この3か月は「熟慮期間」と 呼ばれています。
ここで重要なのは、期限の起算点が「被相続人が亡くなった日」ではなく、「自己のために相続の 開始があったことを知った時」だという点です。たとえば、疎遠だった親族が亡くなったことを しばらく経ってから知った場合や、先順位の相続人が相続放棄をしたことで自分が新たに相続人に なったと知った場合など、実際の死亡日より後から3か月が数え始められることがあります。
期限に間に合わないときの「期間の伸長」
相続財産や負債の状況を調べるのに時間がかかり、3か月では判断がつかないこともあります。この ような場合に備えて、民法は、家庭裁判所への申立てによって熟慮期間を延ばせる制度を用意して います。これは「期間の伸長」と呼ばれています。
期間の伸長の申立ては、もとの3か月の期限が終わる前に行う必要があります。期限を過ぎてから 申し立てても、原則として認められません。申立てが実際に認められるかどうかや、どの程度の期間が 延長されるかは、個別の事情によって判断されます。財産調査に時間がかかりそうだと分かった時点 で、早めに家庭裁判所へ相談することが重要です。
なお、負債の状況が分からないまま一切を放棄するのではなく、プラスの財産の範囲内でマイナスの 財産を引き継ぐ「限定承認」という選択肢もあります。こちらも申述の期限は同じく3か月です。 限定承認は、相続人の一部だけで選ぶことはできず、相続人全員が共同で申述する必要があります。
相続財産の処分に注意(法定単純承認)
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認(プラスもマイナスも すべて引き継ぐこと)をしたものとみなす、と定めています。これは「法定単純承認」と呼ばれて います。一度この状態になると、その後で相続放棄をすることはできなくなります。
何が「処分」にあたるかは、行為の内容や状況によって判断が分かれます。たとえば預貯金の払い 戻しや使用、遺品の売却などが問題になることがありますが、実際に処分にあたるかどうかは 個別の事情によって判断されます。一方で、葬儀費用の支払いなど、生活上必要な範囲の行為に ついては扱いが異なる場合があるともいわれています。この線引きは事案ごとの判断になるため、 判断に迷う場合は家庭裁判所や専門家にご確認ください。
相続放棄を検討している間は、判断が固まるまで相続財産にはできるだけ手をつけず、通帳や 印鑑、貴重品などはそのまま保管しておくことが、基本的な考え方として案内されています。
3か月を過ぎてしまっている場合
3か月の期限をすでに過ぎている場合でも、事情によっては相続放棄の申述が受理されることが あります。期限を過ぎたからと自己判断であきらめず、家庭裁判所や専門家に相談してみることを おすすめします。受理されるかどうかは個別の事情によって判断されるため、この点も家庭裁判所や 専門家にご確認ください。
まとめ
- 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所への申述が必要です
- 期限に間に合わない場合は、期限が終わる前に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てることができます
- 相続財産を処分すると単純承認とみなされる場合があるため、判断が固まるまでは財産に手をつけないことが基本です
- 3か月を過ぎている場合も、事情によっては受理されることがあるため、自己判断で結論を出さないことが大切です
この記事の内容の確認先:相続放棄の申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。 申立ての具体的な書式や手続きについては、裁判所ウェブサイトまたは 管轄の家庭裁判所にご確認ください。
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